※一部ネタバレを含む可能性がございます。
海里の他には、両親と、2歳下の妹がおり、4人家族である。
家族仲はいいが、祖父母や親戚達は、海里が将来有名になり大金を稼ぐであろうとの皮算用から変に纏わり付くため、両親の判断によりほぼ絶縁状態となっている。
父親は航空関係の仕事に就いており、海里(みさと)(カイリ……海マイルから)、経緯子(けいこ)(緯度・経度から)と、仕事関係で馴染みが深く、そして世界共通で普遍にして不変のものから子供達に命名。
夫婦揃って漫画やアニメ好きのコレクターであり、海里はそれらのコレクションを観て育った。
ピーキーな性格の海里と異なり、経緯子は委員長タイプのごく普通の優等生であり、ぽんこつである海里のお世話係をしている。
ナノマシンはかなりの冗長性と自由を与えられているが、『決してやってはいけないこと』として、いくつかの禁止事項が設定されており、それをナノマシン達は『禁則事項』と呼んでいる。『ロボット工学3原則』のようなものである。
具体的には、現地生物に対する不必要な情報開示、特定勢力に対する便宜供与、大量殺戮兵器に関する制限、等である。
なぜか納豆を作ることを『生物兵器の製造』としてレベル7以上の権限がない者には禁止しているが、過去に何らかの悲しい出来事があったのではないかと推察される。
便宜上『神のようなもの』と名乗っているが、正確には『神と言えるくらいに進化した、高次生命体』である。文明の初期段階で自滅し滅亡する知的生命体が多いことから、それらが進化のハードルを超えられるようこっそりと手助けしている。
その手助けに失敗したのが、滅亡を回避させるためナノマシン撒布という非常手段を使った結果、『それがあまりにも便利過ぎたため、文明の進歩が停滞した世界』である。
地球人類の進化のためにテコ入れとして密かに干渉していた少女を事故で失うところを救った海里に深く感謝し、そのお礼として異世界へ転生させてくれた。
しかし、『能力はその世界の平均値で』との海里の願いの曲解、数多の次元世界の中から危険で文明が遅れたこの世界を転生先と選んだこと等、何らかの意図があった可能性が……。
ヒト族、またはヒト種。人間、エルフ、ドワーフを総称した呼び名。
なぜか獣人と魔族はヒト形であり意思疎通ができるにも関わらずヒト族には含まれていない。これには、過去に何らかの経緯があった模様。
マイルの体形はヒト族である人間、エルフ、ドワーフそれぞれの平均値3つを足して3で割った数値にされたのではないかという疑惑があり、そのためエルフとドワーフの特徴が打ち消し合って人間に近い体形となったものの、胸の大きさだけは双方の特徴が一致したため貧乳となったのではないかと思われる。
これはあくまでもマイルの推測に過ぎないが、確認するのが怖いため、ナノマシンに尋ねることはなかった。
思念波を体外に放出する機能が不全であるため魔法が使えないメーヴィスのために、マイルが作った小瓶に入った液体。
中にはナノマシンが大量に含まれており、これを飲んで体内に取り入れることにより、体外に思念波を放出できないメーヴィスにも身体強化の魔法が使えるようになる。
但し、魔法が使えないはずのメーヴィスが魔法を使うと大騒ぎになるであろうことから、マイルはそれを「『気』によるもの。気功術の一種である」と説明している。
また、無理な身体強化は身体に負担がかかり、骨折、筋断裂等、かなりのダメージが出る。
『ミクロス』の名の由来は、この世界には『ナノ』という意味の言葉がなかったため『ミクロ』に相当する言葉で代用し、それが入ったスープなので『ミクロスープ』、略して『ミクロス』。
カプセル怪獣とは関係ない。
人間を遥かに超える知能と魔力を持つ、この世界で最上位の生物。
剣や槍も弾き返す強靱なウロコは、魔力により強化されているものと思われる。
また、その体形、体重から、翼の揚力だけで飛べるとは思えず、飛行にも魔法が使われているものと思われる。
大昔は人間による科学文明が栄えていたこの世界に、このような生物や魔物が存在するのは明らかに不自然であり、そこには何らかの理由があるものと思われる。
マイルの母国、ブランデル王国の王都にあるふたつの学園のうち、格下の方である。
格上のアードレイ学園には、王族や上級貴族の子弟、下級貴族の長子等が通い、エクランド学園には下級貴族の三男以下や女子、裕福な商人の息子や、難関を突破した平民の奨学生等が通う。
全寮制であり、寮費、食費、授業料、教材費、被服代等はかなりの金額となるが、アードレイ学園に較べると10分の1程度であり、その格差が窺(うかが)える。
マルセラ、モニカ、オリアーナの三人組のこと。
マイル(アデル)の秘密の特訓により突然魔法の才能が開花したが、対外的には『偶然』ということになっている。そのため、身分を超えた友情で結ばれた三人に女神の祝福が、と思われ、教師達が呼び始めたこの名が通り名として定着した。
当初は、他に、『ミラクルスリー』、『マジックスリー』等、色々な呼ばれ方をしていたが、最終的にこの名に落ち着いた。
エクランド学園の女子寮に出没する猫。名前は、しっぽの形状から。
女子寮の各部屋を廻り餌を食べ歩くが、猫の扱いに慣れており構い過ぎないアデルのところが居心地がいいのか、定位置はアデルの部屋であった。
しかしアデルは骨しかくれないため、餌は他の部屋で貰う。
そのためあちこちで様々な名前を付けられており、クロ、金眼、虫取り器等の名で呼ばれているのは、全てこの『かぎしっぽ』のことである。
アデル出奔後はマルセラの部屋に居着く。
虫やネズミ、しつこい男等を退治してくれるため、女生徒に大事にされていた。
後に、『女神の依代(よりしろ)様の飼い猫であった』、『女神の御寵愛を受けし少女達(ワンダースリー)ゆかりの猫』として、女神の使い魔だと思われ、勝ち組となる。
平民の家にはないし、宿屋も、ある程度以上の高級宿でないと風呂はない。
普通に薪で沸かすものと、魔法で沸かすものがあるが、宿屋用の大きな浴槽をいっぱいにするほどの水を魔法で出したり沸かしたりするのはかなり困難であるため、魔法のみで運用される風呂は少なく、せいぜいが魔法で追い焚きする程度である。
一般的には、洗面器かタライのお湯を使いタオルで身体を拭くのが、平民の『身体の手入れ』であり、貴族や金持ちでも、毎日入浴するようなことはない。
そんなことができるのは、王女様くらいである。
一週間は6日で、そのうちの1日が休息日である。
一ヵ月は6週間、36日であり、一年は10カ月。そこに、『年を送り、迎えるための祭事の5日間』が加わり、一周期は360日プラス5日となる。
一週間も一ヵ月も一年も、割り切れる数が多いため色々と便利である。(祭事の5日間は別枠であり、一年は、あくまでも360日である。)
時間は、朝1の鐘、朝2の鐘、昼1の鐘、昼2の鐘、夜1の鐘、夜2の鐘と、一日に6回、町や村で鐘が鳴らされる。
それぞれ、午前6時、午前9時、正午、午後3時、午後6時、午後9時頃である。
10歳未満の準ギルド員や駆け出しの子供達からチンピラ同然の素行不良者まで、あらゆるハンター達を導き、サポートする。そのため豊富な知識と優れた洞察力、そして剛胆な胆力と包容力が必要であり、女性の職業としては高給取りの、エリート職である。
男性ハンター達にモテまくるが、たまに元凄腕ハンターだった者や、有力者や貴族の娘などが交じっているため、強引に口説く際には注意が必要である。
飛竜。腕はなく、攻撃は両足の爪と噛み付きが主。
ごく稀に、攻撃魔法を覚える個体がいる。
魔物の一種ではあるが、ゴブリンやオーク、オーガのような凶暴性はなく、食料として、そしてたまには遊びとして獲物(人間を含む)を襲うだけである。
卵を孵(かえ)した時点から、もしくは幼体の頃から育てると結構懐くため、騎乗用とする夢を抱く者が後を絶たないが、成功したという話はない。
宮廷魔術師長。国王直属の魔術師達の長であり、立場的には大臣並みである。
高位の魔術師特有の、『俗事に疎い』、『研究馬鹿』、『感性が子供の時のまま』等の傾向があるが、決して悪人ではなく、慕っている部下や後輩達も多い。
国王からの評価も高く、ある程度の無理を通せるだけの立場であり、伝手やコネも多い。
ボードマン子爵領の領都、タルエスにある中規模商家。
ポーリンの父が商会長であったが、大番頭が雇った賊に殺害され、偽の商店譲渡書により大番頭に乗っ取られた。
中規模ながら、歴史と信用のある老舗であったが、元大番頭は領主と組み悪行三昧。その名は、地に落ちようとしていた。
ポーリンによる奪回後は、弟のアランではなく奪回したポーリンに跡を継がせ、そこに自分の息子を入り婿に、とか企む商人が現れたため、ポーリンは店を母親と弟に任せ、仲間達と共に再び街を去った。『うちの商会にちょっかいをかけたら、すぐに「赤き血がイイ!」がやってくるぞ……』との脅し文句を残して……。
メーヴィスの実家。武闘派の家系であり、代々、男子は皆、騎士となり国軍や領軍で活躍している。
国防に関して多くの手柄を挙げ、国への貢献度が大きいため、王宮や他の貴族達に対する影響力が大きい。
伯爵は妻を早くに亡くしたため、3人の息子達と共に、亡き妻の面影を残すメーヴィスを溺愛。
伯爵も息子達も、貴族としては誠実な人物であるが、決して『お人好し』というわけではない。
そして、メーヴィスに関することとなると鬼にも悪魔にもなり、敵対者は徹底的に叩き潰す。
……何の躊躇いもなく。
ベケット商会への討ち入りにおいて、名を隠しているにも関わらず、メーヴィスがうっかり『赤き誓い』と名乗りそうになったため、マイルが慌ててメーヴィスの言葉に被せて言い放った、ニセのパーティ名。
とっさのことであったのと、メーヴィスが言いかけた名前と語呂が合うものでなければならなかったため、この名となった。
邪悪さがよく現れており、相手に与える恐怖と威圧感は半端ではない。
前衛職は、剣や防具等で、かなり装備が重い。特にハンターは野営具その他を担いで遠くの森や山岳部へ出掛けるので、プレートアーマーなどを着けていては話にならない。
そのため、ハンターは前衛であっても革の防具が主流であり、一部、金属の補強がはいっている。
魔術師等の後衛職は前衛に較べ体力がないこと、武器による近接戦闘は緊急時以外は行わないことから、布を重ねた厚手の服か、それに一部分を革で補強したものを着用するのが普通である。
そのため、魔術師を自称しているくせに剣を装備して革の防具を着けているマイルは、普通は前衛職の剣士だと思われるが、前衛がメーヴィスひとりだと『バランスが悪いから、俺が入ってやろう』とか色々とちょっかいをかけられるため、敢えて誤解させたままにする場合が多い。
ジャンプした後、着地しながら土下座をするという、土下座の一種である。マイルの必殺技。
失敗すると額を地面に強打し倒れるという、危険な高等技術である。
これを繰り出されると、土下座というものを知らない者でも居たたまれない気持ちになってしまい、相手の謝罪や要求を受け入れざるを得ないという、恐るべき技。
勿論、マイルの実家の秘伝である。
貴族や裕福な人々が、暑気払いに湖畔や海辺で水遊びをする時に着用する、濡れても構わない衣服。
完璧な防御力を誇り、手首や足首のあたりまでを完全に覆い隠し、厚ぼったくダボッとしている。濡れても、身体に張り付いて体形が分かるようなことはない。
勿論、泳ぐためのものではなく、浅瀬で水遊びをするだけである。
お金のない平民達は、厚手の胸当てに上着、そして夫や兄弟から借りたズボンを穿いて水に浸かる。
マイルが作った地球式のものは、その防御力はこの世界の下着にすら及ばず、裸同然と認識される。
ティルス王国の南部にある、アルバーン帝国との国境の町。海にも近く、海産物が豊富。
海産物を日保ちするよう加工し、ティルス王国、アルバーン帝国の双方へ売ることを主な産業としている。そのため商隊の出入りが多い。
人口は3600人くらいであり、地方都市としては標準的な大きさの街である。
専業もいれば、近隣の村人が兼業で行う場合もある。
あまり人を殺すと荷馬車の運行が止まったり、国や領主が討伐隊を出したりするので、お金と荷は奪っても、商隊側の降伏後は人間は殺さないのが普通である。
但し、女子供は違法奴隷として売るため連れ去る。
明らかに勝つことができない戦力差の場合、護衛のハンターは降伏する権利をハンターギルドから認められており、雇い主との契約条項にもそれが記載されている。
護衛のハンターと戦うと盗賊側の被害が増えるため、盗賊との間には、降伏したハンターには手出ししない、という暗黙の了解がある。降伏したハンターに手出しした場合、ハンターギルドが全力で討伐隊を出してくるため、余程の悪党であっても、それを破るような者は滅多にいない。
ティルス王国と、マイルの母国であるブランデル王国の南方に位置する大国。東側は海に面している。
広い国土を有しているが、その大半は山岳部や痩せた土地であるため、食料や財政状況はあまり良くない。そのため肥沃な土地を手に入れようと、軍備に力を注ぎ、周辺国への侵略を画策している。
その、『軍備に力を注ぐ』という行為が益々財政難を招き、そろそろ限界が近い模様である。
正面からの軍事行動だけでなく、特務部隊や工作部隊を敵国に送り込み、色々と暗躍している。
身分(階級)は、大まかに分けて、王族、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵、平民、奴隷に分かれている。マイルの実家であるアスカム家は子爵なので、上から5番目、下からも5番目。
……そう、丁度真ん中、『平均値』である。(注:人間が考えている『平均値』とは少し異なる。)マイル「『少し』どころか、全然違いますよっっ!!」
Cランクの、4人パーティ。レーナが盗賊に父親を殺されたところに偶然通りがかり、孤児となったレーナをパーティに受け入れた。後に、雇い主である商人に裏切られ、レーナを残し全滅。
レーナが『赤のレーナ』と名乗るのも、パーティ名を『赤き誓い』としたのも、実はこの、『赤き稲妻』の名に由来する。
レーナの目的は、自分がAランクかSランクとなり、彼らの夢を代わりに果たすと共に、自伝を書くことによって『赤き稲妻』の名を世間に知らしめ、その名を歴史に残すことである。
『赤き誓い』が滞在する、ティルス王国の王都にある小さな宿屋。
若夫婦と、娘であるレニーの3人で経営している。
父親が料理人であり、母親はベッドメイクや掃除等、様々な雑用を担当。レニーが受付業務、給仕等を担当している。
営業的な判断においては、お人好しな両親に代わって、レニーが重要な判断を行う場合もある。
ある条件と引き換えに値引き要請を受け容れ、『赤き誓い』がこの宿を拠点とする決め手となったのは、レニーの判断による。そのため、『赤き誓い』はレニーに頭が上がらない。
国家間に跨がる、超国家的組織である。
戦争や政治的なことには関与せず(ハンターが個人的に傭兵として参加するのは自由)、国からの命令や強要は受け付けない。
ハンターの登録、昇級、仕事の斡旋、そしてギルドからの正規の受注任務中に揉め事に巻き込まれたハンターに対する支援を行う。
ハンターは、Cランク以下は底辺職であるが、Bランクになると尊敬され、Aランク以上になると、騎士として取り立てられたり、叙爵されて貴族になれる可能性すらある、夢と危険が背中合わせの職業である。
岩場に住む巨大なトカゲ。丸まって、岩に擬態している時がある。
爬虫類なので痛みをあまり感じず、攻撃の効果がなかなか表れない。
肉は美味しく、皮も素材として高値で売れるが、そのため、皮を傷めないように狩ろうとするハンターが多く、必要以上に難度が高くなってしまう。
あまり凶暴ではないが、自分が攻撃されたと判断したときには尻尾による強烈な一撃がくるため、不用意に近付くのは危険である。
ティルス王国の王都にある、中堅の商家。
悪辣非道というほどのことはやらないが、相手を騙して利益をあげようとしたり、約束を守らないことがあり、取引相手からは警戒されている。
特に、立場が弱い低ランクハンターをいいように利用しようとすることが多いが、うまく相手を選ぶ上、言い逃れができなくもない微妙な行為であるため、大抵はハンターが泣き寝入りして終わる。犯罪者や悪党というほどではないが、『悪い商人』ではある。
主に、商隊や金持ち、貴族等が、旅の護衛としてハンターを雇うことを指す。
敵は、魔物、盗賊、身内に雇われた刺客、その他色々である。
依頼条件に『Cランク以上』と書かれているのが通例であるが、別にDランク以下を雇ってはならないというわけではない。……普通は、そんな者を雇う者はいないが。
護衛には、ハンターではなく傭兵を雇う場合もあるが、傭兵は対人戦には強いが魔物相手の経験が少ない者が多いため、何か特別な事情でもない限りは、ハンターが雇われる。
勿論、街中での護衛等の依頼もある。
1部屋4~5名で、男女別の班編成の通りの部屋分けとなっている。寮費等は無料。
部屋には、2段ベッドとタンスと貴重品入れのみ。それ以外のものは何もない。
居住区などにはお金をかけない。部屋でごろごろしている暇があったら訓練場へ行け。部屋はただ着替えて寝るだけの場所。そういうことである。
2段ベッドは下の方が色々と使いやすいが、マイルは日本人の性(さが)として、自ら上段を選択。メーヴィスは身体が大きいため、皆が下段にするよう譲った。そしてレーナは勿論、ちゃっかりとポーリンを押し退けて下段を確保した。
『秘密戦隊ゴブリンジャー』。
悪人ハンター達と戦い、結果的に村人を護ることになるため、人間達に勝手に「正義の戦隊」と呼ばれている5匹のゴブリン戦士の物語である。
普段は普通のゴブリンの振りをしているが、戦う時には、赤ゴブリン、青ゴブリン、黄ゴブリン、モモゴブリン、ミドゴブリンに変身する。
勿論、モモゴブリンはメスであり、黄ゴブリンはカレーが大好物である。
前衛(剣士、槍士等)と後衛(魔術師、弓士等)によって構成されており、F~Cランクのパーティーでは、職種のバランスや稼ぎの分配等の関係で、4~7名編成のことが多い。
Bランクパーティー以上では、数十人のメンバーを擁し、いくつかのグループに分けて活動したり、メンバーのローテーションを行ったり、若手を養成するための部門があったりもする。
勿論、Bランク以上であっても、『ミスリルの咆哮』のように、少数精鋭のパーティーもある。
ハンター養成学校の卒業イベントであり、Bランクパーティーに模擬試合の相手を依頼する。
Bランクパーティーは本気で戦うわけではなく、卒業生の実力をうまく引き出してやり、見せ場を作って活躍させてやるのが目的である。そのため、Cランクではなく、実力が隔絶したBランクパーティーに依頼する。
勿論、学生が勝つことなど想定されていない。
何でも屋。国をまたいで存在する『ハンターギルド』は、国や貴族の干渉もはねつける、公正、かつ強気の組織である。 戦争や盗賊の討伐等の対人戦専門の、傭兵を束ねる『傭兵ギルド』というものもあるが、ハンターは、魔物討伐、素材採取、商隊護衛等から、力仕事や街の雑用まで、何でも引き受ける。そのため傭兵からは馬鹿にされることもあるが、底辺層や孤児達が生きていくための大事な働き口である。 一般には底辺職であるが、Bランク以上になると一目置かれ、Aランク、Sランクとなると騎士や貴族に取り立てられることもあるという、夢のある職業でもある。
6~9歳の準ギルド員であるGランクは、街中での雑用か、護衛付きでの集団薬草採取くらいしか受けられない。正規のギルド員はFランク以上であり、F~A、そしてその上のSランクがあるが、Sランクなど極々僅かしかおらず、皆が目指す実質的な頂点はAランクである。 ハンターの大部分はCランクであり、Bランクになると周辺都市での有名人、Aランクだと、国での有名人である。 ちなみに、メーヴィスは、Aランクになることにより騎士に取り立てられることを目指している。
ティルス王国が6年前に試験的に始めた制度。才能があるのに、最低年数が経過しないと昇級できないという規則のせいで時間を無駄にする者が出ないよう、若者を半年間の特別教育でDランク~Cランクにしてくれる。 しかし、国策として授業料も衣食住も無料であるため、政財界からは『お金の無駄』として批判的な意見も多い。
正規のハンター(Fランク)になった者が最初に挑む、最弱の魔物のひとつ。肉は食用、毛皮や角は加工製品の素材として広く使われるため、常時依頼である。多産であるためすぐ増えるので資源枯渇の心配もなく、駆け出しハンターにとっては非情にありがたい獲物。 但し、大きく鋭い角は馬鹿にできず、油断すると致命傷を負わされることがあるし、集団で襲われるとCランクハンターでも逃げ出す場合がある。
身体が岩でできている巨体の魔物。他の魔物が、あくまでも『普通の生物』の範疇であるのに対し、明らかに異質の魔物である。そのあたり、何か謎がありそうな……。 弱点は、関節部分。 球体関節は、某、磁石の巨大ロボットを連想させるが、勿論、ただの偶然である。
マイルが祖国出奔後に居着き、ハンター登録をした国。マイルの祖国、ブランデル王国の隣国。 『ハンター養成学校』という、他国にはない制度を作っており、ハンターに対する理解が深い。 聡明な王や良き家臣に恵まれ、政治的にも経済的にも安定した国である。国力は、ブランデル王国の7割くらいである。
アデル(マイル)の出身地。アデルの実家であるアスカム子爵領がある。国土の60%が自然に囲まれ、豊かな大地により農耕が盛ん。特産物は小麦、とうもろこし、ジャガイモなど。 森や山岳部では希少なモンスターも出現し、ハンター御用達の国である。 王都に、アデルが通ったエクランド学園と、上級のアードレイ学園の、ふたつの学園がある。
貨幣は銅貨(日本円にして十円相当)、小銀貨(同百円)、銀貨(同千円)、小金貨(同一万円)、金貨(同十万円)が一般に流通している。他に金貨の10倍の価値を持つオリハルコン貨があるが、平民が日常的に使うことはあまりない。 各国は貨幣の金や銀の含有量を統一しているため、周辺国では他国の貨幣も普通に使える。
文明が崩壊しヒト種が絶滅しかけた時、高次生命体が救済のため特例として惑星全域に撒布。 しかし、それにより危機は脱したものの、そのあまりの便利さに文明の進歩が停滞、『干渉に失敗した世界』として高次生命体はこの世界を去る。 生物の思念波を受けて、それを科学的、あるいは化学的な手法で実現する。この世界の者達には、それが『魔法』と認識されている。 現在、会話による意思疎通が許可されている『権限レベル3以上の者』は、マイルだけの模様。